当施設は、兵庫県で唯一、全床認知症専門棟の施設です。
現在、一、二階共に、五十名づつのフロアーで、ワンフロアーを四ブロックに分け、
利用者さまとの馴染みの関係が持てる様に固定のスタッフとグループリーダーを配置して、
きめの細かいケアを実践する事を目的に、グループリーダーを中心とした、個別ケアに取り組んでおります。
「一人の方とどれだけ向き合えることができるのか…」
グループケアを始めるに際して、この問いに対する答えを常に考え続けています。
現在、各テーマを持った四つのグループを設定し、各グループの取り組みも検討しながら進めている段階ですが、なかなか、グループとしての活動や、それを活かしたケアの実践につながっていないのが現状です。
今後、チームケアの重要性を考えながら、実践につなげるための一層の努力が必要だと思います。その中で、私達はグループケアを一括りのケアと勘違いしないことが大事だと考えています。つまり、たとえグループを設定したとは言え、利用者さまにはそれぞれの生活があり、
そのそれぞれの生活を支援していくのが私達のおこなうべきことだと思います。そして、「グループでの取り組み」「チームケア」これら全てが「一人の方と向き合う」ための手段であると考えられます。
私達主導の取り組みだけではその人らしさを保つことは難しく、その人らしさを保つには、その人をよく知る必要があります。そのためには、見て、聞いて、一緒に考える事が大切であると思います。
グループの意味は「全形を形どる一個、一人」となっています。
私達はその「一人」を見つめ、向き合ってこそのグループケアであることを理解して進めていきたいと考えます。
一階のフロアーでは、2007年5月1日からグループケアへの取り組みの第一歩として、ご利用者さまとのなじみの関係を踏まえ、4つのグループに分けました。この4グループにスタッフ(看護師1〜2名、介護スタッフ3〜4名)を
チームとして配置した体制でのケアを本格的に始動させていただいております。
このことから利用者さま同士の関係が深まるだけでなく、ご利用者さまとスタッフの間においてもなじみの関係が生まれやすくなったと感じております。日々の寄り添う時間を通して理解を深めることで、お一人お一人の気持ちや思いに近づき、少しでも答えていくことができているのではないかと考えています。
当面の課題は、各チームのグループリーダーを中心として、チーム内での連絡や調整を図り、チームとしてのケアの機能を確立させることと現状におけるケアを見直し、いかに個別性を見いだして質を上げていくことができるかということが挙げられます。
まだまだ試行錯誤の日々が続いており、行き届かない部分が多々あるかとは思いますが、一歩づつでもご利用者さまに喜んでいただけるケアが提供できればと考えております。
ご質問やご提案等がございましたら、ご遠慮なくスタッフまで声をかけていただくと共に、今後ともご支援下さいますよう、よろしくお願い申し上げます。