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皆様、こんにちは。
「青い空の郷」の施設長をしております吉川と申します。
この度、新たなホームページを立ち上げました。これを機会に私たちの施設をひとりでも多くの方に知っていただければ、また、認知症(若年性を含む)をお持ちの方々とそのご家族様のお役に立つことになれば、これほどうれしいことはありません。
ぜひ、これからもご覧ください。
さて、今回の私の話は「認知症の方を取り巻く環境」についてお話をしたいと思います(第1回目と言うことで少し堅苦しく)。
近年、財政上の理由から、医療・福祉制度改革が声高に叫ばれ、さまざまな施策がつぎつぎに具体化されています。2000年発足移行の介護保険においても、その利用者増大は著しく、破綻も時間の問題となっており、改正は介護給付費用を如何に抑制するかにあることは間違いありません。改正の流れとして、第1点は予防重視、第2点は地域密着サービスの展開、第3点は施設ケアの整理となっております。しかし、第1の予防重視は、根拠に乏しく、とくに認知症に関しては実施するにも至っていません。現在提供されている軽度障害の方に対するサービスも生活支援とは程遠いものであり、事業そのものの存続も経済的観点からも危ぶまれております。第2においての地域密着サービスについても、小規模多機能型居宅介護、夜間対応型訪問介護などが上げられますが、経済性の悪さや労働環境による人材確保の難しさなどがあり、失敗例も多いのが実情です。鳴り物入りで新設された地域包括支援センターも苦戦しています。「認知症があっても安心して暮らせる街づくり」にはおおいに賛成ではありますが、核家族化、単身世帯が進む中でのサービスなしの在宅重視は家族の犠牲か虐待を生むだけと考えます。第3の施設ケアの整理については、2005年の居住費、食費の自己負担化が行われ、2006年に打ち出された介護療養型医療施設削減の方針などにより、当面は施設介護費の増加は免れるでしようが、先延ばしに過ぎないのは誰の目にも明らかであると思われます。
また、認知症ケアを取り巻く環境においてもさまざまな問題があります。特に重要なのは要介護認定における現場感覚との乖離です。ADL優先の介護認定の中で、自力歩行可能な認知症高齢者の方の評価があまりにも低いのです。暴力行為があり、どこの施設も対応困難を理由に受け入れ拒否のある方がなぜ「要介護度 2または3」になるのかなど大きな疑問が残ります。
今後の介護保険制度の改正についてはいろいろ憶測が飛ぶ中で、まだはっきりしたものはありません。しかし、認知症高齢者の方は毎年確実に増え続けることは間違いないのも事実です。私たちはこの厳しい中においても「兵庫県唯一の全床認知症ケア加算を受けている介護老人保健施設」としてその役割を忘れず、地域への貢献の存続と認知症ケアの発展への強いメッセージを発信し続けられる施設であることを目標としていきたいと強く思っています。
今後ともよろしくお願いいたします。
医療法人寿栄会 介護老人保健施設 青い空の郷 施設長 吉川 敦
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